長岡天神さんの一箱古本市を振り返る

今週のお知らせは特にないので、最近の出来事を振り返ります。

長岡天神さんの一箱古本市を振り返る

天神さんの一箱古本市

「一箱古本市を見て回るのは苦手だ」とツイートしたり、イベントが終わったあとの他の人たちの「たくさんの人とお話できてよかった」的なツイートを見て、「自分はぜんぜん話せなかったトホホ」と、弱音を吐いたりしてましたが、楽しいは楽しかったです。

知らない人とは話せませんが、面識のある人とは話せますので、ダンデライオンさん大吉堂さんとはいろいろとお話しておりました。

あと、1003さんにお目にかかるのは二度目で、「あの人がそうかなぁ、そうな気がするんだけどなぁ、でも間違っててもなんだしなぁ」と思って声をかけられなかったんですが、1003さんの方から声をかけてくださったので、ちょっとお話できました。
でも突然だったから、テンパった感じになってて、自分が何を言っていたかよく覚えてないけれど。

それと、ありまさんにばったり出くわしてお話できたのも嬉しかったです。
最近大阪の市では、毎回顔を合わせるという感じでもないから。僕ももうちょっと京都の市に顔を出せたらなぁ。

唯一、古書柳さんとだけ、大吉堂さんのご紹介のおかげで、お話させていただけました。
どなたかの紹介がないと、人間関係広げられない! みなさん、いろいろな人、紹介してください。

そして、フォローさせていただいている方の出店を見る時は、名乗ったり話しかけたりぜんぜんできませんでしたが、「この人があの人なのかぁ、へー、ほー」と、内心大変楽しんでおりました。

一箱古本市には、ほぼ終了時間の四時近くまでいて、帰りにヨドニカ文庫さんCAFE KATEMAOさんに寄って帰りました。

パフェ

パフェでかいし! (そして、おいしかったです。)

そんなわけで、久しぶりの京都方面へのお出かけ、堪能いたしました。

今週のお知らせ:23日(月)~29日(日)

大阪古書組合としては、今週はなんといっても、「大阪古典会創立114周年記念 古典籍展観入札会」のある週であります。

27日(金)と28日(土)の二日間、大阪古書組合(大阪市中央区粉川町4-1)で、一般の方も、古典籍を見ることができますし、組合員を通してですが、入札することもできます。つまり、古典籍を買えます。

当日の大阪古書組合は、さながら美術館か博物館か、という様子になっております(ガードマンまでいたりして!)。一見の価値ありです。

「一度見てみたいな、なんだったら買ってもみたいな」なんて方がいらっしゃったら、ご連絡ください。わたくし寸心堂でよければ、ご案内させていただきます。

大阪古典会のホームページに詳細が載っておりますし、目録のPDFファイルも見られるようになっております。

> 大阪古典会ホームページ

> 創立百十四周年記念 古典籍善本展観図録

ご覧ください。

 

 

たにまち月いち古書即売会2016年6月

今回の谷町月一では、特集コーナーとして、「モームと読む世界文学」というコーナーを設けました。

モーム『世界の十大小説』(岩波文庫)で取り上げられている十作品、すべて並べました。

モームと読む世界文学どーん! と、こんな具合に。全部平置き、ないし面出しで。

それぞれの小説についての話題は……

フィールディング『トム・ジョウンズ』

ジェイン・オースティン『高慢と偏見』

以下、他の小説についても書きたいけれど、谷町月一会期中に時間が取れるかどうか。

このすぐ右隣には、モームの他の本とか、十大小説で取り上げられている作家の関連本とか置いてあります。

さらにその横には、ちっちゃい「コージー・ミステリー」のコーナーあります。

コージーみんな大好きナンシー・ドリューのDVDもあります。

真ん中に平置きしているミステリ書店シリーズは、橋本聡さんの表紙も素敵な、僕のお気に入りシリーズです。

アリス・キンバリーは、クレオ・コイルの別名義です。コーヒーのシリーズを書いている人です。コーヒーのはコーヒーので好きなんですけど。

ここよりさらに右に行くと、いろいろ雑多な本が並んでます。

その気になれば、ツイッターででも紹介しようかと思います。

あとこれは、ツイッターで最近話題の #文庫川柳 の #文庫短歌 版です。

文庫短歌
パリの夜 海辺の悲劇 恋の罪
妖女のように 逃げ去る女

30点。

最後に、またチラシ作ってます。無料ですので、どんどん持って帰ってください。

下の表紙はカラーですが、実際のチラシはモノクロです。

リブレリ第1号

現地行けないけどチラシ欲しい、って方はメールでもツイッターでもなんでもご連絡くだされば、PDFファイルをメールで送らせていただきます。

現地でチラシもらったけど、文字が小さすぎて読みにくい、PDFファイルちょうだい、って方も、ご連絡くだされば同様にいたします。

今回のチラシから、タイトルをつけて、ナンバリングも1からつけました。

定期的に発行していきたいな、という意気込みを込めて。

さらに、創作もやってみました。小説書いてみました。

チラシの全ページに渡って、自分の声ばかり響いている感じになるのが嫌だったので、創作を混ぜようと考えました。

本当はショートショートで完結するものを書くつもりだったのですが、600字くらいしか枠がなくて、いくらショートショートでもそこまで短いのは思いつけなかったので、連載小説にしてしまいました。

フローベール好きとか、トム・ジョウンズお気に入りとか言っといて、書いてる小説はラノベじゃねえかwww みたいなツッコミをお待ちしてます。

オースティン『高慢と偏見』

ジェイン・オースティン『高慢と偏見』
中野康司訳(ちくま文庫・上下巻)、小尾芙左訳(光文社古典新訳文庫・上下巻)

高慢と偏見オースティンは1775年生まれ。『高慢と偏見』の出版は1813年。

僕はそれこそ「偏見」があって、まったく「ジェイン・オースティンを読んでみよう」とか思う機会がありませんでした。

どういう偏見かっていうと、要するに、「年頃の女性が婚活するお話なんでしょ? 興味無いわ~」という感じだったのです。

しかし、世評の高さは疑えない。このモームもそうですけど、夏目漱石だってずいぶん褒めていたし。「まったく関心しない」と切って捨てたのはナボコフ先生くらいで。そんなナボコフ先生も、文学講義で『マンスフィールド・パーク』の方は取り上げてるし。

いくぶん重い腰を上げてという感じで読み始めてみたら、あらまあ、たいそう面白かったです。

子供の頃に、隣のお姉さんから譲ってもらって読んでいた少女漫画とそっくりでした(富永裕美さんとか)。ラブコメのおおもとはコレなんだな、と思いました。

文学史的に。といって、僕が文学史の何が分かるのかって、何も分かってませんけど。オースティンが面白いなと思うのは、彼女は18世紀後半のイギリスの小説をしこたま読んでいたらしいのです。で、その頃は、センチメンタルなのとかロマンチックなのとか、デフォルメされたヒーローやヒロインが出てくる小説が流行していたそうで。そういう小説を読んでいたオースティンは、それと同じような小説を書くようになるんじゃなくて、その逆を行くんですよね。

当時流行の理想的なヒロイン像に対して、アンチ・ヒロインな人物像を書いた。すなわち、いろいろと欠点のあるような人間を。

素晴らしい発想だったと思います。と、上から目線。

ああ、フローベールと同じ発想なんだな、と思いました。時代を画する作家ってのは、流行に乗るんじゃないんだな。逆を行くんだな、と。

といった、文学史的にどうとかっていうのはどうでもよくて、単純に面白い小説でした。

フィールディング『トム・ジョウンズ』

モーム『世界の十大小説』(岩波文庫)で取り上げられている10作品、全部の書影を撮りました。一作ずつ紹介いたします。

フィールディング『トム・ジョウンズ』
朱牟田夏雄訳(岩波文庫・全四巻)

トム・ジョウンズ

10作中一番昔に書かれた小説。

フィールディングは1707年生まれ。『トム・ジョウンズ』の発行は1749年。

このくらい古い時代の話になると、確かに風俗とかよく分からないですが、あまりそういうことを気にしないでも、楽しく読めました。本当はもうちょっと気にした方がいいとは思いますが。

フィールディングが小説を書くことになったきっかけが面白くて、リチャードソンの『パミラ』を読んで、こんな小説はけしからん! ということで、そのパロディの『シャミラ』ってのを書いたんですって。どんなのか、読んでみたくなりますよね。

その後何冊かの小説を書いて、最後から二番目の小説が『トム・ジョウンズ』。

刊行当時おおいにうけて、この小説を模倣した小説がずいぶん書かれたそうです。模倣して書かれたという小説はあまり残っている様子がありませんが、『トム・ジョウンズ』は不滅です。そういうもんですね。

『トム・ジョウンズ』で面白いところは、全部で18章だったかそのくらいあるんですが、そのそれぞれの章の冒頭に、小説の本編と関係のないエッセイが挟まるんです。

フィールディングが、自分はいかに前例のない新しい小説を書いているのか、っていうことを自慢していたりして。エッセイだけ読んでも面白い、っていうくらいのものです。

飛ばし読みを推奨するモームは、このエッセイは飛ばして本編だけ読んでもいいよ、って書いてるんですが、飛ばすのはもったいないと思います。

本編は単純な話です。トム・ジョウンズ君が生まれてから、成長して、恋をして、女の子のお尻を追いかけ続けて、さてどうなるやら? っていう感じです(だったと思います)。

いま『トム・ジョウンズ』って、案外手に入りにくいと思うので、この機会にいかがでしょうか。けっこうおすすめです。