谷町月一今回の特集「ニコイチ」について

今回の谷町月一では、二冊セット本を何組か作りました。

「次はこの企画でいこう」と思った時は、いろいろとユニークなセット本を作るイメージでいたのですが、実際に本を集めてみると、思うようにいきませんでした。

「コレにはアレを組み合わせたい」と思って一冊は確保しても、その相手になる本が見つからないというようなことがしばしばあり、結局意外な組み合わせとか、ひねった組み合わせとか、ぜんぜん出来ませんでした。

というわけで、凡庸な組み合わせばかりで面白さがイマイチなんですが、一応どんなセット本を用意したか、その一部を紹介します。

勅撰和歌集セット

勅撰和歌集本セット

『古今和歌集』と『新古今和歌集』のセットです。
ひねりゼロです。
最近、外国文学ばかりではなく、自国の文学にも親しんでいかねばと思うようになり、岩波の黄帯とか、古本屋の特権をいかして古典文学全集の端本とか手に入れて、ちょっとは読むようにしてます。

初恋セット

初恋セット

トゥルゲーネフ『初恋』と武者小路実篤『友情・初恋』のセットです。
タイトルが同じだから。安直です。
しかし、どちらも素晴らしく切ない小説だったと思います。読んだのが随分前なので、よく覚えてないんですが。
しかし、実篤の『友情』についてはよく覚えてます。片思い中(ないし振られたばかり)の人は、最後の手紙のところは、涙無しには読めないと思います。

詩人アポリネールの手遊びセット

詩人アポリネールの手遊びセット

アポリネールの『一万一千の鞭』と『若きドン・ジュアンの手柄ばなし』のセットです。
大声で言えませんがポルノ小説です。

小説書き方本セット

小説書き方本セット

ディーン・R・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』と中条省平『小説家になる! 芥川賞・直木賞だって狙える12講』のセットです。
これらを読めば、エンターテインメント小説から純文学小説まで、なんでも書けるようになること請け合いです。
すみません、嘘つきました。

古典とその読み方本セット

古典とその読み方本セット

メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』と廣野由美子『批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義』のセットです。
『フランケンシュタイン』の翻訳は昔からずっとありますが、僕はこの新潮文庫版が出た時に始めて読みました。
古い小説だし、読みにくいんだろうなぁと思ってましたが、意外とそんなことなかったし、すごく面白かったです。
あと批評理論とか文学理論とか、僕は好きでいろいろ読みます。この本は、『フランケンシュタイン』を読む前に読みました。そのことが『フランケンシュタイン』を読むことに何か影響があったかどうか。あんまりなかった気がしますが。

哲学入門本セット

哲学入門本セット

永井均『〈子ども〉のための哲学』とデカルト『方法叙説』のセットです。
デカルトの『方法序説』はいろいろな翻訳がありますが、この白水uブックス版が、一番易しい日本語で書かれていると思います。「中高生向けですか?」みたいな文章です。若い人で、これから始めて哲学の古典を読んでみようという人におすすめです。
永井均は僕が好きなので抱き合わせました。永井均的哲学問題について人と直接話し合ったことないので、誰かを巻き込みたいです。そしてちょっと話し合ってみたいです。
というようなセット本を用意してお待ちしております。

たにまち月いち古書即売会は、6月17日(金)から19日(日)までです。よろしくお願いします。

今週のお知らせ:6月13日(月)~19日(日)

今週は「たにまち月いち古書即売会」と「弁天町オーク古本祭り」があります。

寸心堂は「たにまち月いち古書即売会」にのみ参加です。
特集は「ニコイチ特集」で、二冊セット本を用意します。意外な組み合わせとか作りたかったんですが、凡庸な組み合わせのセットばかりになってしまいました。詳細は、当日までに時間が取れたら、記事を書きたいと思ってます。

「たにまち月いち」会場の最寄り駅である谷町四丁目駅から「オーク古本祭り」会場の最寄り駅である弁天町駅は、地下鉄中央線で四駅くらいの、近くといえば近くですので、ぜひ、同じ日にどちらも回ってください。

あと、18日(土)・19日(日)には、島本町で「しまもと一箱古本市」も催されております。
谷町月一と被っているんですが、僕もちらっと覗きに行こうかと思っております。「しまもと一箱古本市」に出られている皆様、よろしくお願いします。

「しまもと一箱古本市」の詳細は、コチラ(island booksさんのHP)にて。

弁天町ORC200 第26回古本祭り

  • 日程:6月17日(金)~23日(木)
  • 時間:正午~午後7時(初日は午前10時から、最終日は午後5時まで)
  • 場所:弁天町オーク200 2Fオーク広場

オーク

 

たにまち月いち古書即売会

  • 日程:2016年6月17日(金)~19日(日)
  • 時間:10時から18時まで(最終日は16時まで)
  • 場所:大阪古書会館

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お待ちしております。来てね。

 

電子書籍との付き合いと積ん読のこと―僕はなぜ積ん読するのか?

Kindleとペーパームーン

個人的に、電子書籍でもって本を読むということが視野に入ってきたのは、この5、6年のことかと思う。

一般に、日本で電子書籍元年といわれる年は2010年らしい。タブレット端末の走りであろうiPadが最初に出た年も2010年だったようで。

僕自身初代のiPadを買っていて、その時、「これで電子書籍を読んでみよう!」と思っていました。

実際ある程度は、iPadでも読んでみたのですが……。

しかし、初代iPadが出た当時は、結局、電子書籍はほとんどデスクトップパソコン(とそのディスプレイ)で読んでいました。

※その理由はいくつかあって、僕にとっては興味深い話題なんですが、今はこの話題は掘り下げないことにします。

電子書籍でもって本を読むという習慣がさらに進むのは、僕の場合は、アマゾンのKindleを手に入れてからになります。

最初のKindleを手に入れた経緯についての記憶が曖昧でしたが、調べているうちに思い出してきました。最初のKindle Paperwhiteが出た時にすぐ、ビックカメラで買ったんでした。香川に一泊旅行に行ったその帰りだったはずです。2012年の秋頃。

その後じわじわと、Kindleで電子書籍を読むという習慣が、本を読む生活の中に浸透していきました。今ではそうとう浸透しています。

どのくらい浸透しているかというと、電車移動時間はほぼKindle読書です。それに伴い、外出中のスキマ時間も同じく。

その時にどうしても読みたい紙の本がある時は、そういう本を持ち歩きますし、出先で本を買った帰り道は、その本のあとがきや解説を読むのが慣わしですが、基本的には、出かける時にはできるだけ紙の本を持ち出さず、Kindle内に入ってる本を読むようにしています。

理由は二つ。

一つは、紙の本を持ち歩くと、鞄の中で本が傷むことがあるから。

もう一つは、Kindle本でも読みたい本が積まれてきたから。

この二つ目の理由が大きくて、外出中Kindle本ばっかり読むようにしたとしても、Kindle本が切れることはなさそうだな、という感じになりました。つまり、Kindle本の積ん読本が溜まってきたということでして。

そうなったのは結構最近のことで、今年(2016年)に入ってすぐの頃でした。

去年の年末から今年の年始にかけて、Kindle本の半額セールがありまして、その対象に光文社古典新訳文庫も入っていました。それでその時に、光文社古典新訳文庫だけでも20冊くらい、それ以外の本も4、5冊ほど買ったのでした。

その時から以降、「電車内読書はKindleで行こう」ということになりました。

電子書籍って、あんまり積ん読しないだろうと思ってました。紙の本と違って、物として所有すること自体の快楽がほぼないから。でも、積ん読しない理由はそういうことではなかったようです。

自分が紙の本を積んでいる理由を考えたら、そんな理由でないことは明らかなんですが。つまり、所有の快楽の有無はほとんど関係がない、ということが。

僕がどういう時に紙の本を積んでいるかというと、漠然と欲しいと思っている本を、古本屋で安く見つけた時です。

新刊書店で定価で買う本は、そんなに積みません。すぐにでも読む前提で買います。読み始めて挫折して、結果積んでしまうことはありますが。すぐに読むつもりのない本は、「また今度でいいや」と思って買いません。今度来ても同じ本が同じ値段で売ってるだろうと、一応思うから。

※今日の出版事情では、ある種の本は、出た時にすぐ買っておかないと手に入りにくくなるかもしれない、といったことも多少考えますが、この問題についても今はスルーします。

要するに僕は、安売りとかセールっていうのに弱いというだけでした。

今しかその値段で買えないかも、と思うと買っちゃうっていう。古本屋で本を買うのも、読みたいものを探して買っているというより、安い! お得! ラッキー! という感覚が気持ちよくて買っているような気がしてきました。

多分だいたいそういうことなんだと思います。

読みたい本を見つけた時よりも、安い本を見つけた時の方が、なんか気持ちよくなる脳内物質出てる気がします。

電子書籍の場合もそうで、紙の本とほとんど同じような値段で売っている時には、ぜんぜん見向きもしません。「それだったら紙の本買うわ」と思います。しかし、「今だけ半額!」とかやられると、「あ、買っちゃおうかな……」となります。

光文社古典新訳文庫は、つい先日にも一部のタイトルの半額セールをしてくれていました。僕としては、岩波文庫やちくま文庫なんかも、それに続いて欲しいなぁと思う次第であります。

ひとつ、よろしくお願いします。

って、誰に言ってるんだか。

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