フィールディング『トム・ジョウンズ』

モーム『世界の十大小説』(岩波文庫)で取り上げられている10作品、全部の書影を撮りました。一作ずつ紹介いたします。

フィールディング『トム・ジョウンズ』
朱牟田夏雄訳(岩波文庫・全四巻)

トム・ジョウンズ

10作中一番昔に書かれた小説。

フィールディングは1707年生まれ。『トム・ジョウンズ』の発行は1749年。

このくらい古い時代の話になると、確かに風俗とかよく分からないですが、あまりそういうことを気にしないでも、楽しく読めました。本当はもうちょっと気にした方がいいとは思いますが。

フィールディングが小説を書くことになったきっかけが面白くて、リチャードソンの『パミラ』を読んで、こんな小説はけしからん! ということで、そのパロディの『シャミラ』ってのを書いたんですって。どんなのか、読んでみたくなりますよね。

その後何冊かの小説を書いて、最後から二番目の小説が『トム・ジョウンズ』。

刊行当時おおいにうけて、この小説を模倣した小説がずいぶん書かれたそうです。模倣して書かれたという小説はあまり残っている様子がありませんが、『トム・ジョウンズ』は不滅です。そういうもんですね。

『トム・ジョウンズ』で面白いところは、全部で18章だったかそのくらいあるんですが、そのそれぞれの章の冒頭に、小説の本編と関係のないエッセイが挟まるんです。

フィールディングが、自分はいかに前例のない新しい小説を書いているのか、っていうことを自慢していたりして。エッセイだけ読んでも面白い、っていうくらいのものです。

飛ばし読みを推奨するモームは、このエッセイは飛ばして本編だけ読んでもいいよ、って書いてるんですが、飛ばすのはもったいないと思います。

本編は単純な話です。トム・ジョウンズ君が生まれてから、成長して、恋をして、女の子のお尻を追いかけ続けて、さてどうなるやら? っていう感じです(だったと思います)。

いま『トム・ジョウンズ』って、案外手に入りにくいと思うので、この機会にいかがでしょうか。けっこうおすすめです。

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