だいたいホンの話(8)

IMGP1085 本のカバーといえば。

あの、新刊本屋で本を買うと「カバーかけますか?」とか聞いてくれるあのカバーのことですけれども、僕は昔はカバー断る派でした。

最近は、普通に自分が読みたくて買った本であっても、いずれ自分のお店で売ることになるんだろうと思うから、できるだけ本を傷つけない・汚さないようにと、書店ではカバーをつけてもらうことが多くなりました。今ではカバーお願い派です。

昔、自分がいずれ古本屋になるとは思っていなかった頃(まあ、けっこう最近まで思っていなかったんですけど)、ぜんぜんカバーというものをつけませんでした。

家で読む時はもちろん、外出中、主に電車の中やなんかで読む時も、とくにカバーをかけようと思わなかった。

ただ、プルーストの『失われた時を求めて』の集英社版の1巻を毎日持ち歩いて読んだ時は、「ああ、カバーしておくんだった」と思いました。当時まだ古本屋ではなかったので、売ることを考えてそう思ったのではないんだけど、とにかく帯が擦れに擦れてものすごい色落ちしたんですよね。

この集英社版の帯って、金みたいな色なんです。ちょっとキラッとした。これが擦れて色落ちするとそうとう残念な感じになるんです。

で、『失われた時を求めて』の1巻です。これがまあまあ長いんです。主人公が登場して床について寝るんだか寝ないんだかだけで100頁くらいあるとか、そういう意味で長いって話じゃなくて、もう単純に文字の量・情報の量が多い。1巻は本文400頁くらいのものだけど、この400頁は赤川次郎の3000頁くらいのイメージですよ。

要するに読むのに時間がかかるわけです。毎日持ち歩いて読んでも、当時3、4週間かかったと思う。それだけの日々、鞄に入れて持ち歩いたために帯は擦れに擦れてすっかり色落ちしてしまいました。

色落ちしたそれと2巻の新しい帯と見比べて、その時は「次からはカバーかけて読もう」と、さすがに思ったのでした。

 

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