購書記:ツイン21古本フェア

 以下の本は、9月5日(土)から12日(土)まで、京橋のツイン21でやっていた「ツイン21古本フェア」で買いました。

門谷健蔵『岩波文庫の赤帯を読む』(青弓社)

 岩波文庫赤帯好きの僕が、この本については、その存在を知っていながら、これまで一度も所有したことがありませんでした。
 この本は、著者がある時点(1990年代半ば)で手に入る岩波文庫赤帯を、できるだけたくさん探して購入して読んで、そしてそのことについて書いたものです。
 ここのところ、僕もこの著者と同じようなことをしています。僕はこの著者ほどの集中力もなければ財力もないので、実際のところ同じことをしているようなそうでもないような、という具合ですが。

小谷野敦『リチャード三世は悪人か』(NTT出版)

 小谷野さんの本は、あらかた普通に新刊が出た時に買って自分の蔵書として持っていたのですが、この春の四天王寺の即売会でみんな並べたら軒並み売れていって、もうほとんど残っていないという状態になってしまいました。
 今後はコツコツ古本屋で探して、もう一度コレクションを再構築しようと思っております。

ジョヴァンニ・マリオッティ『超難問世界文学クイズ』(鈴木昭裕訳・白水社)

 作家のエピソードを紹介して、さてこれは誰のことでしょう? というクイズが77問。
 最初の一問がたまたま分かったので、けっこう分かるかもと思って他を見てみたら、ぜんぜん分かるのがなかった。
 僕はぜんぜん文学マニアじゃなかった。

ジェイムズ・ジョイス『ダブリンの人びと』(米本義孝訳・ちくま文庫)

 ジョイスの四作は常に持っておきたいと思う。売れたらなんとかどこかから見つけてきて補充して。
 ジョイス四作中、『ダブリンの人びと』が一番手に入りやすい。岩波文庫でも新潮文庫でも、わりと最近刊行されたものがあるから。
 しかし、ちくま文庫版は危うい。この3点中で一番手に入りにくくなると思う。
 なので、見つけたら購入。ダブっても。
 ダブリンだけに。

ハメット『ガラスの鍵』(池田真紀子訳・光文社古典新訳文庫)

 光文社古典新訳文庫には時々、「これって古典なの?」というのも入ってくる。
 で、そこが面白い。
 とはいえ、この本は出たときにはスルーしてました。
 読んでみようかな。

アポリネール『異端教祖株式会社』(鈴木豊訳・講談社文庫)

 講談社文庫って、昔はいい外国文学の古典を出していたんですね。
 古本屋になって業者市に出入りするようになって、「こんなのも、かつては講談社文庫で出てたのか」というのを、ちょくちょく見るようになりました。
 この本も白水Uブックス版は持ってますが、講談社文庫ででも出ていたとは知りませんでした。
「おっ!」と思って衝動買いしました。

リルケ『Lettres à un jeune poète(若い詩人に宛てた手紙)』(ガリマール)

 新潮文庫で翻訳が出ているリルケの『若き詩人への手紙』の、フランス語とドイツ語の対訳対照版が、ガリマールのペーパーバックで出てました。
 翻訳されたリルケの『若き詩人への手紙』はすごい好きだったので、このテクストでフランス語の勉強をしようかな、なんて。
 思っただけで、しないだろうけど。

まとめ

 今回の「ツイン21古本フェア」では、この倍くらい買いました。

 本は、読むのも楽しいけれど、本を探したり・本に出会ったり・本を買ったりするのも、本を読むのと遜色ないくらい楽しいことと思います。

 そういう本の楽しみ方をするのに一番いいのは、古本屋の棚を覗くことではないでしょうか。古本屋店頭の棚でも、古本即売会の棚でも。

 僕自身は古本屋になる前からずっとそうしてきました。古本屋になってからも、商売そっちのけで同じことを続けてます。

「本好きだけど、新刊本しか買わないなぁ」という若い方、ぜひ古本屋にも足を運んでみてください。本が好きならきっと楽しめると思います。

 来週は「たにまち月いち古書即売会」が、大阪古書会館であります。
 大阪古書会館は大阪における古本屋の、いわばメッカです。
 本好きのみなさん、一度は覗きに来て下さいね。

「たにまち月いち古書即売会」の告知は、明日します。

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購書記:ブックオフ河原町オーパ店

 ブックオフ河原町オーパ店には、京都の古書組合に行く前に寄りました。京都の古書組合には、もちろん市のために行きました。

ギッシング『ヘンリー・ライクロフトの私記』(池央耿訳・光文社古典新訳文庫)

 この本は岩波文庫版で愛読してました。最初に読んだのは十代の時だったかと。新訳が出た機会に、久しぶりに読んでみようかなと思っていたんですが、新刊で買うにはちょっと高いなぁと思いスルーしていたのでした。

ヴォルテール『ルイ十四世の世紀(2)〜(4)』(丸山熊雄訳・岩波文庫)

 一巻が無かったのが残念。誰かまず一巻だけを買った人がいたのかな。その人からしたら、続きが残ってなくて残念ということかもしれないけれども。
 2、3、4巻のあとがきを読むと、どれでも自分の訳文の拙いということを悔いたり謝ったりしていて、ちょっと面白い。

ボルヘス『幻獣辞典』(柳瀬尚紀訳・河出文庫)

 今年新刊で出て、ずっと気になっていたけれど買わずにいたのをブックオフで発見して購入。こういうのはよくないと思いつつ(スパッと新刊で買わねば、と思うのです)。

生田耕作『ダンディズム』(中公文庫)

 この本は二十代の頃に読み、ダンディな生き方をしたいと憧れたものですが、現実にはダンディとほど遠い人間になってしまいました。無念。

アナイス・ニン『小鳥たち』(矢川澄子訳・新潮文庫)

 アナイス・ニンは、若い頃映画の『ヘンリー&ジューン』を観て、エロい人だという先入観を植え付けられています。この本もエロチカというわけで、まあエロい人という理解でいいのかな、みたいな。いいかげん。

クヌート・ハムスン『ヴィクトリア』(冨原眞弓訳・岩波文庫)

 先月出たばかりの新刊。新刊を見つけた時に買っているので、すでに持っているのだけれど、せっかくなのでもう一冊購入。この本はすでに読了していて、けっこうおすすめです。『ダフニスとクロエー』とか『ポールとヴィルジニー』みたいな雰囲気で、僕の好きなタイプのお話でした。

ビアス『アウルクリーク橋の出来事/豹の目』(小川高義訳・光文社古典新訳文庫)

 Kindle版を買ってある程度読んでいたのだけれど、Kindleで読むよりは紙の本があるならそちらで読みたいというわけで、見つけたこの機会に購入。

アポリネール『一万一千の鞭』(飯島耕一訳・河出文庫)

『若きドン・ジュアンの手柄ばなし』は持っているのだけれど、こっちは売ってしまい在庫無しだったので購入。というわけで現在両方揃ってます。お求めの方はご連絡ください。

フレッド・ウェイツキン『ボビー・フィッシャーを探して』(若島正訳・みすず書房)

 もう随分前にこれの映画版を観たので、いったいいつ出た本だろうと思い奥付を見ると、去年出たばかりだった。
 あとがきで映画版のちょっとした裏話が書いてあって、それを読むと映画をもう一度観たくなります。どういう裏話かというと、映画に、モデルになったジョシュア本人とその先生であったパンドルフィーニ本人が出演しているという話。

 その他数冊購入。
 ものすごい掘り出し物は見つけられなかったけれど、まあまあいい買い物でした。『ルイ十四世の世紀』の1巻が無かったのだけは、つくづく残念。どこかで見つけられたらいいけど。

店主の購書記:7月5週

  1. ユゴー『レ・ミゼラブル(5)』(西永良成訳・ちくま文庫)
  2. トルストイ『アンナ・カレーニナ(1)』(望月哲男訳・光文社古典新訳文庫)
  3. プルースト『失われた時を求めて 全一冊』(角田光代/芳川泰久編訳・新潮社)
  4. クノー『地下鉄のザジ』(久保昭博訳・水声社)
  5. マルタン・デュ・ガール『チボー家のジャック』(山内義雄訳・白水社)
  6. 朝比奈弘治『フローベール『サラムボー』を読む 小説・物語・テクスト』(水声社)
  7. クザーヌス『神を観ることについて他二篇』(八巻和彦訳・岩波文庫)
  8. ハンナ・リード『泣きっ面にハチの大泥棒』(立石光子訳・コージーブックス)
  9. 辰野隆『フランス革命夜話』(朝日新聞社)
  10. 小谷野敦『このミステリーがひどい!』(飛鳥新社)

(1)心斎橋のブックオフにて。
 1巻から4巻まではわりとさらっと集まったけれど、5巻がなかなか見つけられなかった。ようやく揃ったことだし、読み始めてみようかな。

(2)同じく心斎橋のブックオフにて。
 四天王寺の古本祭りで1巻だけ売れて欠けていたので、今回見つけて補充。

(3)戎橋のブックオフにて。
 いずれはブックオフで見かけることもあるだろうとは思っていたけれど、思っていたより早く来た。新刊でわりと売れているんだったらいいけどなぁ。

(4)難波のブックオフにて。
 生田耕作訳で何度も読んだ『ザジ』の新訳。かつて持っていたけれど、売って手元に無くなっていたので再購入。なんかまた読みたい気分。

(5)同じく難波のブックオフにて。
 髙野文子の『黄色い本』に出てくる版の「チボー」なら読んでみたいと言っていた知人のために購入。これは新装版なので、まるっきりあれと同じものではないかもしれないけれど。

(6)なんばの天牛堺書店にて。
 去年『感情教育』が、今年『ボヴァリー夫人』が新訳で出たので、来年は『サランボー』あたりが出るんじゃないかと。何も根拠はないんだけど、そんな気がしてます。

(7)なかもずの天牛堺書店にて。
 中世やルネサンスの頃の哲学や思想にはあまり関心が持てなかったので、クザーヌスについてもとんと知るところが無かったけれど、今回この本を手に取り解説を読むと、この人の主著と言われるもの(『知ある無知』、『推測について』)は、読んでみたいと思いました。

(8)同じくなかもずの天牛堺書店にて。
 ランダムハウスが出していたコージーのシリーズを、ランダムハウスが倒産した頃から集めていて、その後原書房が引き継いだシリーズや新しいシリーズ物も手に入るだけ手に入れるようにしております。
 この「はちみつ探偵」シリーズの3巻はまだ持っていなかったので買いました。

 (9)同じくなかもずの天牛堺書店にて。
 近々中公文庫だかで出るようです。
 今回元版(昭和33年刊)が手に入ったので、文庫が出ても当分買わないと思います。

(10)泉ヶ丘パンジョの紀伊國屋書店にて。
 実家の近所の紀伊國屋書店で購入して、交野に帰る電車の中でずっと読んでいて、その日のうちに読了。
 推理小説嫌いだと言いながら、推理小説嫌いじゃない僕よりずっとたくさん読んでいるのがさすがだなと思う。
 これを読んで、とりあえず西村京太郎の『天使の傷痕』は読んでみなくては、という気持ちになりました。


 先日、唯書房さんとロビンさんと僕の三人で飲んでいる時、ピケティの『21世紀の資本』は組合の市になかなか出てこないという話になりました。そういえば見ませんね、と。

 で、ブックオフなんかでは出てるんだろうか、出てるとしたらいくらくらいだろうか、みたいな話になりましたが、この度確認してきました。
 普通に棚に並んでました。しかも1冊じゃなく、2冊、3冊。で、値段は4320円だったと思います。

店主の購書記:7月4週

  1. レヴィナス/ポワリエ『暴力と聖性』(内田樹訳・国文社)
  2. メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(芹澤恵訳・新潮文庫)
  3. 秋月龍珉『公案—実践的禅入門』(ちくま学芸文庫)
  4. ウェブスター『あしながおじさん』(土屋京子訳・光文社古典新訳文庫)
  5. ユリイカの橋本治特集号
  6. 『アーネスト・ダウンスン作品集』(岩波文庫)
  7. ロバート・E・ハワード「新訂版コナン全集1、2巻」(創元推理文庫)
  8. 『怪奇小説傑作集(3)』(創元推理文庫)
  9. 清岡卓行『海の瞳 原口銃三を求めて』(文春文庫)

(1)京都の町家古本はんのきにて。
 閉店セールで半額でした。元々それほど高い値付けでもないうえに半額だったので、申し訳ないような値段で買いました。恐縮です。
 閉店まであと二日という時に行きましたが、まだまだいい本がたくさんあったので、新しいお店が決まった時にはまたお邪魔したいです。

(2)京都は四条河原町のブックオフにて。
『フランケンシュタイン』は、ごく最近まで読んだことがなくて、この新潮文庫の新しい翻訳が出てしばらくした時に、初めて読みました。
 昔の小説だし、そんなに面白くもないかもしれないと思いつつ読みましたが、予想外に面白かったです。

(3)京都は三条のブックオフにて。
 以前持っていたけれど売ってしまったので再購入。
 絶版状態でアマゾンでは若干プレミア価格になっているようです。
 禅、やってみようと思ったことはあるけれど、煩悩まみれなので、どうも無理みたい。

(4)枚方の呼文堂にて。
  帯に「女子だけが知っていた名作。(男子も読んでね!)」とあり。
 男子って年じゃないけど読んでみようと思います。

(5)天神橋筋商店街の駄楽屋書房にて。
 橋本治は、エッセイや評論のたぐいはいろいろ読んできたけれど、小説はほとんど読んでいません。
 いずれ小説も読まなきゃなと思っていたので、この本にある主要著作解題を参考にこれからいろいろ手にしてみようと思いました。

(6)天神橋筋商店街の天牛書店にて。
 最近南條竹則さんが紹介する翻訳物をちらほら集めてます。
 先週買ったロセッティも南條竹則編訳でした。 

(7)天神橋筋商店街の栞書房にて。
 帯付で状態のいいものがお手頃価格だったので、すでに持っているにも関わらず買ってしまいました。
 現在手元にないのは第3巻だけなので、最近どこの本屋に行っても3巻を探すのですが、新刊書店でも古本屋でも見つかりません。

(8)天神橋筋商店街のジグソーハウスにて。
 若島正さんが『乱視読者の英米短篇講義』で「この世に存在するすべての短篇の中でわたしが最も偏愛する短篇であり、できることならわたしが書いたことにしてしまいたいくらい愛している」というコッパードの「アダムとイヴとツネッテ」が入っている短編集。
 若島さんがそこまで言う短編小説はいずれ読まねばと思っていて、ようやく入手しました。

(9)天神橋筋商店街の矢野書房にて。
 先日矢野書房店主の矢野さんから頂いた本、伊達得夫『詩人たち—ユリイカ抄—』の最初のエッセイが原口銃三の話で始まっていて、これは友人であった清岡卓行による原口銃三についての本。
 それを矢野さんのお店で買いました。


 今週は天神橋筋商店街の古本屋を訪ねました。
 天神祭の宵の日で、人がいっぱいでした。
 本屋さんもいつもよりお客さんが多かったんでしょうか。あんまり関係なかったんでしょうか。下世話ですけど、ちょっと聞いてみたい。

店主の購書記:7月3週

  1. ラブクラフト『文学における超自然の恐怖』(大瀧啓裕訳・学研)
  2. 井波律子『読切り三国志』(ちくま文庫)
  3. 井上究一郎訳『セヴィニェ夫人手紙抄』(岩波文庫)
  4. 南條竹則・松村伸一編訳『D.G.ロセッティ作品集』(南條竹則/松村伸一編訳・岩波文庫)
  5. 藤田嗣治『随筆集地を泳ぐ』(平凡社ライブラリー)
  6. バルザック『グランド・ブルテーシュ奇譚』(宮下志朗訳・光文社古典新訳文庫)

(1)守口ジャガータウンのブックオフにて。
  ラブクラフト。最近はぜんぜん読んでいないけれど、若い頃好きでした。それで、創元推理文庫のラブクラフト全集はできるだけ揃えて持っていようと思っています。とはいえ、リアル古書店で欠けている巻を見つけたら買っておくというやり方なので、一度欠けた巻が出るとなかなか揃いません。現在3巻を欠いてます。
 こういう本が出ているの、知りませんでした。安くもなかったので買うかどうか迷いましたが、作品解題を読むと欲しくなり、思い切って購入しました。

(2)同じく守口ジャガータウンのブックオフにて。
 三国志って、いろいろな本で読もうとしてきたのだけれど、一度も最後まで通読したことがありません。羅貫中の『三国志演義』はもちろんのこと、吉川英治や柴田錬三郎や北方謙三でも最後まで読めませんでした。横山光輝の漫画でも、最後までは読んでいません。
 とりあえずこの本を読んで、三国志の全体像を掴んだうえで、また再度どれかに挑戦してみようかなと思い、この本を買ってみました。
 この本さえ読了できないかもしれないけれど。

(3)同じく守口ジャガータウンのブックオフにて。
 セヴィニェ夫人(1625-1696)の手紙。『失われた時を求めて』翻訳者の井上究一郎の翻訳。『失われた時を求めて』の主人公の祖母がセヴィニェ夫人の手紙の愛読者であったという設定があり。
 附記で、『續セヴィニェ夫人手紙抄』について触れているけれど、その本は出ているのかなぁ?

(4)京橋のブックオフにて。
 わりと最近(今年の3月)出たばかりの本なので確保しました。
 ロセッティはこういう絵を描く19世紀の画家で、そして詩人でもありました。

(5)同じく京橋のブックオフにて。
 今度は日本の画家の随筆集。
 戦時中やその直後に書かれたものが多いけれど、あまり悲壮感などあるように読めない。
 戦争状態が日常になると、人は案外その状況に慣れたりするのかなぁ、などと思ったり。
 戦争嫌ですけど。 

(6)たにまち月いち古書即売会にて。
 光文社古典新訳文庫は時々変化球を投げてくることがあって、そうした変化球のうちの一つは、長編作家と思われている作家の短編集を出すというやつで、最近ではゾラの短編集が出ていました。そしてこれはバルザックの短編集。
 かつて普通に新刊で買って、全部読まないうちに売ってしまい、再度手に入るチャンスがあればいつでも買うつもりでいたところ、たにまち月いち古書即売会で格安で売っていたので購入しました。厚生書店さんのところで売っておりました。


 平均すると一日一冊以上のペースで買っているけれど、一日一冊以上のペースで読んでいるわけではないので、積ん読本がどんどんたまります。

 どうしたって買う量の方が読める量より多くはなるだろうけれども、もうちょっと本を読む時間を作りたい。