店主の購書記:2015年6月3週目

9784122001367

  1. ゾラ『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家—ゾラ傑作短篇集』(國分俊宏訳・光文社古典新訳文庫)
  2. ゾラ『テレーズ・ラカン』(小林正訳・岩波文庫)
  3. エラスムス『痴愚神礼讃』(沓掛良彦訳・中公文庫)
  4. クノー『地下鉄のザジ』(生田耕作訳・中公文庫)
  5. ドン・デリーロ『コズモポリス』(上岡伸雄訳・新潮文庫)
  6. 大友克洋『ショート・ピース』(アクション・コミックス)

(1)天満橋のジュンク堂書店にて。帯の惹句は「“短篇作家”ゾラの魅力発見!!—奇抜な設定と意外な結末—『居酒屋』『ナナ』だけじゃない」。
 光文社古典新訳文庫の今月の新刊。
 最近の古典新訳文庫はちょっと高いと思う。 あまり数が売れなくなってきて高くせざるをえなくなってきたのかなと憶測するのですが、高くなるとますます売れなくなり、そのうちこのレーベルがなくなっちゃうんじゃないかと心配になります。 

(2)古本屋にて。(1)を買った数日後に見かけたので、ゾラ繋がりで買っておこうと。

(3)古本屋にて。わりと最近出た本なので、古本屋で見つけられると思っていなかったので、ちょっと掘り出し物を見つけた気分でした。
 この文庫は訳者あとがきも面白いです。ある先行訳をけちょんけちょんに貶してます。あんまりひどいから自分が翻訳を出さねばと思ったということです。

(4)古本屋にて。ジャケットにカトリーヌ・ドモンジョの写真が使われている版。『地下鉄のザジ』は映画も好きだということもあって、このジャケットは好き。

(5)古本屋にて。この文庫のジャケットも映画のスチール写真を使っているのだけれど、これは好きじゃない。というか、映画のスチール写真を使ったジャケットはたいてい好きじゃない。上のザジは例外中の例外。
 最近、都甲幸治さんの『偽アメリカ文学の誕生』 を読んで、ドン・デリーロも読んでみようかなと思っていたので買いました。

(6)古本屋にて。どこの古本屋ででも、漫画はあまり熱心に見ないのですが、大友克洋と髙野文子の単行本だけは、「ないかなー」とちらちら探してみることがあります。なかなかないんですが。今週久しぶりに見つけて確保しました。 


 今週は他にも十数冊買いました。もちろん全部は読めません。
 この、読み切れないのに買うという癖は、古本屋になるはるか前からのもので、 古本屋だからたくさん買っているというわけではないんです。

 もうちょっと合理的な生き方をしようと思えば、本は読む分だけ買って、再読しない本は売るなりして処分するのがいいと思います。それは分かっているんですが、そうしようと思ったことはあまりないし、そもそも合理的な生き方をしようと思いがちな人は、古典文学とかあまり読まないんじゃないかなぁという気がします。 

 つまり、古典文学とかに惹きつけられがちな僕は、合理的に生きようとは、多分思っていないんでしょう。

 

 自分はけっこう合理的な判断をする人間だと思っていたんだけど、そうでもなかったのかぁ。

「たにまち月いち」前日連投ツイートまとめと補足

本日たにまち月いち古書即売会の搬入でした。これから寸心堂が目玉と思っている本を紹介させていただきます。ツイート連投失礼します。

 ツイッターでは、「#たにまち月いち古書即売会」というハッシュタグをつけてツイートしました。 

(1)篠沢秀夫教授の「フランス文学講義」全5巻。仏文好きの僕の座右の本です。クイズダービー時代には、後にこの先生の本を愛読するようになるとは微塵も思ってませんでした。

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 篠沢教授の本を愛読しているというのは本当のことで、フランス文学史の中に出てくる作家について知りたい時に、「篠沢教授は何て言ってるんだろう?」と、教授の本を確認するということがままありました。

(2)裸本のボードレール全集を含むボードレール関連本。トロワイヤの伝記は翻訳もフランス語版もあり。洋書の出所は大学の先生なので、けっこうしっかりしたものと思います。

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 ボードレール関連の洋書は今回の「たにまち月いち」に持ち込んだもの以外にもたくさんあります。状態がそれほどよくないので売りにくいのですが。
 他の本も、ちょくちょくあちこちの即売会に持って行ってみるので、状態が悪くても安かったらいいよという方、買ってください。

(3)桑原武夫全集。「文学」って何のことだろう? という素朴な疑問を抱いていた若い頃に、桑原武夫の『文学とはなにか』を手に取ったのを覚えてます。未だに文学って何か分かってませんが。

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「文学とは何か」という問いはいつも気にかかってます。若い時、この問いに答えを与えようとけっこう一所懸命頑張りました。そういった評論を読んだり、哲学・美学に手を出してみたりなんかもして。
 結局、すっきりした答えは持てずに今日まで来てしまったんですが。

(4)ゲーテの伝記、評伝など。ゲーテの伝記のあとには、クンデラの『不滅』なんかどうでしょう?

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 クンデラの『不滅』には、ゲーテとその恋人のエピソードが繰り返し出てくるのです。始めて『不滅』を読んだとき、「ゲーテの伝記読んでみたいなぁ」と思ったものでした。当時は上の本が手元になかったもので。

(5)ヘルダーリン全集。旧版ですが、その分お安くなっております。

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 ツイッターで、ヘルダーリンが手に入ったら知らせてくださいって言われていて、ずっと気にしていたんですが、なかなか手に入れられませんでした。
 それで、ようやく手に入って即売会に出せることになりましたが、ツイッターで声をかけて頂いた方のツイッターアカウントが無くなっていて、その方にお知らせしようがなくて、残念なことです。

(6)マンゾーニ『いいなづけ』全3巻。下巻の訳者(平川祐弘)あとがきが翻訳論のようなものになっていて面白かったです。立ち読みだけでも。

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 外国文学者の一番の仕事は、研究対象の作家のいい翻訳を出すことだ、というような話でした。
 そして、いい翻訳をしようと思ったら、その外国語に精通していることはもちろんのこと、日本語も抜群にできるんでないといけないというようなことで。
 で、ドイツ文学の翻訳では、森鷗外の翻訳が抜群だというような話。 

(7)ポール・ベニシューの「フランス・ロマン主義」シリーズ4冊と『マラルメに従って』も。『作家の聖別』を読んで続きが読みたくなった方、翻訳はいつ出るかわかりませんし、フランス語でどうですか?

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『作家の聖別』が出て、その書評を図書新聞か週刊読書人で読んで、「ポール・ベニシュー読みてー」と思っていた時に、古本業者の市で上の本が出てきて、そのタイミングのよさにびっくりしました。「絶対落札するぞ!」と思ったものでした。
 無事落札できてよかったです。 

ツイート連投失礼しました。これでおしまいです。明日から3日間、大阪古書組合にて「たにまち月いち古書即売会」です。よろしくお願いします。

 というわけで、「たにまち月いち古書即売会」前日夜に、持ち込む本について、7連続ツイートしました。
 記録のために、それらのツイートをブログにまとめておきました。

「たにまち月いち古書即売会」は、6月19日(金)から21日(日)まで、大阪古書会館にて。

 

たにまち即売会終了(2014年11月)

たにまち月いち古書即売会に来てくださった皆様、ありがとうございました。
いい本に出会えたでしょうか?

僕は、バーセルミの『帰れ、カリガリ博士』を買いました。
搬入・設営の時に見つけて、最終日まで残っていたら買おうと思っていて、無事買うことができました。

同じように目をつけていたナボコフの『マーシェンカ』は、どうも売れてしまったみたいで最終日には見つかりませんでした。
残念。
でも、お客さんの中にナボコフ好きな人がいたんだなと思うと嬉しくもあります。

大阪古書組合では、次は来月に全大阪ブックフェアというのがあります。
90周年記念事業ということで力が入っていることと思います。
皆様ぜひお越しくださいませ。

一葉伝の口絵と図版

お客様より、『一葉伝—樋口夏子の生涯』に一葉の写真は掲載されているかとご質問をいただきましたので、口絵と図版をここに紹介いたします。

▼ 『一葉伝—樋口夏子の生涯』口絵IMGP2146

▼ 『一葉伝—樋口夏子の生涯』口絵(部分)IMGP2147

▼ 『一葉伝—樋口夏子の生涯』図版
IMGP2148

▼ 『一葉伝—樋口夏子の生涯』図版(部分)
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現存する樋口一葉の写真に、有名な肖像と同じくらいはっきりと写っているものは他にないんでしょうかね?

新潮日本文学アルバムの樋口一葉の巻でも、上の写真の他、子どもの頃の家族写真1点と集合写真がもう1点あったくらいでした。

 

名古屋へ

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所用で名古屋に行って来ました。

名古屋城を観て、ひつまぶし食べて、所用を済ませた以外は、古本屋を探して歩いただけで終わってしまいました。

いろいろ面白げな通りとかあったので、もうちょっとゆっくりできたらよかったんですが。

今度行く時は、一日くらい早めに行ってひとりでぷらぷらするような予定を立てようかなぁ。

本は30冊くらい買いましたけれど、仕入れというわけじゃあないです。自分が好きな本を買ってきただけ、という。

まだまだ古本屋になりきれてません。