文庫レーベル別思い出の一冊(光文社古典新訳文庫編):シャルル・バルバラ『赤い橋の殺人』

光文社古典新訳文庫というレーベルが誕生した時は、ちょっと驚いた。

僕自身はその頃(十年くらい前)すでに、世界文学の古典的なものが好きだったけれど、世の中的にはそういうのはぜんぜん流行らないものと思っていた。

だから、こういうレーベルが誕生したことに驚いたし、それが光文社からということにも驚いた。光文社ってごりごりのエンターテインメント系出版社という先入観があったので。まあ偏見です。

しかし、世界文学の古典もそれを教養か何かのように、お勉強のように読むとアレだけど、そうじゃなく単に愉しみのために読むのであればエンターテインメントに違いないわけで。

十年前って、四十過ぎるとわりと最近だと感じる。

つい先日、交野のご当地アイドル交野星子ちゃんのYouTube動画を見ていると、一年前の出来事を「昔」って言っていて、「昔ちゃうやん!」って心の中でツッコミ入れたけど、若いと一年前って、かなり前のことと感じるものなんですかね。

四十過ぎると十年前ってわりと最近のことなので、レーベルができてまだ十年の光文社古典新訳文庫については、「思い出」という感じで振り返る一冊が思い浮かばなかった。みんな記憶が新し過ぎて。

そんな中で、シャルル・バルバラについてだけはちょっと特別な印象だったので、これを思い出の一冊ということであげることにしました。

光文社古典新訳文庫は、レーベルの名前の通り古典的な作品の翻訳なので、刊行されるタイトルはほとんど知っているし、他の版で読んだことのあるものも多い。読んでないにしろ、よくは知らないにしろ、はじめて聞く作家とかいうようなことはほぼない。

しかし、このシャルル・バルバラ『赤い橋の殺人』をジュンク堂天満橋店で見た時は、「え? 誰なん? ほんとに古典なの?」となった。ジャン=パトリック・マンシェットとかミシェル・リオみたいな系統の人かな? とか思ったり。

そしてその時に、訳者あとがきと解説を読んで、「これは読まなきゃいけない」と思い、実際買ってすぐ読んだ。

「シャルル・バルバラって誰なん?」って思っている人は、ぜひお近くの書店の光文社古典新訳文庫コーナーに足を運んで、訳者あとがきと解説を読んでみて欲しい。

こういうのが好きな人は、「こんな作家がいたのか!」という印象的な発見をすることになると思う。僕と同じように。

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